
50代に入り、これまで頑張って続けてきた仕事をいったん「お休み」する女性も多いことでしょう。
ただ、子育ても一段落し、自分の時間が持てるようになった今、「もう一度働きたい」「社会とつながりたい」と考える方もたくさんいます。「今からできる仕事って何があるだろう?」と立ち止まってしまうこともありますが、シニアの再就職やパートでは、資格なしでもできる人気の仕事もたくさんあります。さらに、資格を持っていることで自分のスキルを証明できたり、他の応募者と差をつけるアピールポイントになるのも事実です。
この記事では、資格なしでも始められる仕事と、50代からでも独学で取得しやすく、持っていると有利になる資格をご紹介します。子育てが一段落し、自分の時間ができるこの時期こそ、ソロ活感覚で新たな資格にチャレンジし、第二の人生に希望をもって一歩踏み出しましょう!
50代女性が資格なしでもチャレンジできる仕事とおすすめ資格7選
1. 事務、オフィスのお仕事

資格なしでも応募できる事務の求人は多くあります。一方で、事務のお仕事は概して競争率も高い傾向にあります。そんな中、50代の方でも採用時にご自身が長年培ってきたスキルを証明できる資格を取得していると有利です。主に事務やパソコンでのデスクワークが多かった人にはこれまでのスキルを活かすことができる上、まったく新しい仕事にチャレンジするより心理的なハードルも高くはないでしょう。
おすすめの資格
①簿記(日商簿記3級または2級)
企業の経理や会計の知識を証明できます。経理補助や事務職、小規模な会社の会計係として採用されやすく、数字や計算が得意な方にぴったりです。
簿記の2級や3級は、一般的な事務職や、主婦の方がパートを始める際にとても役立つスキルです。特に3級は、日々の売上や経費の管理といった基本的な経理業務を理解できるため、多くの企業で事務スタッフに求められる「安心の基礎力」として評価されています。さらに2級まで取得すれば、より専門的な会計処理や試算表の作成など、ワンランク上の仕事を任せてもらえる可能性が広がり、時給アップや正社員登用のチャンスも高まります。家庭のやりくりで身につけた感覚を「資格」として形にし、仕事の場で即戦力として活かせるのが簿記の魅力です。パートや再就職の際に、自信を持ってアピールできる武器になります。
各級のレベル目安

主催 | 日本商工会議所 | https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping |
試験概要 | 統一試験 | 3回/年 試験日程カレンダーを参照ください |
ネット試験 | 商工会議所ネット試験施行機関をご参照ください | |
受験料 | 統一試験 | 1級 8,800円 2級 5,500円 3級 3,300円 |
ネット試験 | 2級 5,500円 3級 3,300円 | |
受験資格 | 特になし | |
申込方法 | 日本商工会議所のサイトを参照ください | |
難易度 | 2級合格率 20%前後 / 3級合格率 30~50%前後 |
②MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)

WordやExcelの実務スキルを証明する資格。データ入力や書類作成など、即戦力として事務職で活かせます。パソコン作業が好き、これまでにWordやExcelの使用経験がある方ならスムーズに学べます。
受験方法
「全国一斉試験」と最寄りの最寄りの試験会場で受験できる「随時試験」があります。申込方法や試験会場についてはMOSサイトで確認できます。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト公式ページ
試験のレベル
WordとExcelには「一般レベル」と「上級者レベル(エキスパート)」の2種類の試験があります。それぞれOfficeのバージョン別の試験を選択します。普段使用されているOfficeのバージョンを選び、受験するのが良いでしょう。
- 受験料:一般レベル、上級レベルともに12,980円(税込/2025年5月1日現在 一般価格、学割あり)
- 試験時間:50分

最近では完全在宅の事務の求人も増えています。オンライン秘書など、50代の女性が家にいながらできる仕事として人気があります。簿記やMOSの資格をもっていると、自己の強みとしてアピールもできるので、取得しておくと有利です。
2.家事代行

需要が高まる家事代行サービスは、50代女性がセカンドキャリアや副業として始めやすい仕事です。これまで家庭で培ってきた掃除・洗濯・料理などのスキルをそのまま活かせるため、新たな資格がなくてもすぐにスタートできます。また、勤務時間を自分のペースで調整でき、家庭との両立や体力面の負担も少なく、無理なく続けられるのが魅力です。さらに、子育て真っ最中の忙しいご家庭や高齢者世帯をサポートすることで、社会に役立っている実感が得られ、生きがいややりがいにつながります。これまでの経験が「価値あるサービス」として評価されることで、50代からの新しい一歩を自信を持って踏み出せる仕事です。特別な資格は求められませんが、資格があると信頼感がアップします。
おすすめの資格
③整理収納アドバイザー2級
片付けや整理整頓のノウハウが身につく資格です。家事が得意な方、周囲から「片付け上手」と言われた経験がある方にぴったり。家事代行の他にも、ハウスクリーニングや引っ越しサポートでも活かせます。お仕事に活かせるのはもちろん、ご自宅でも役立つ知識なので、学ぶこと自体が楽しいソロ活にもなります。
資格、講座の概要
「整理の考え方」の基本、具体的な 「整理の方法」と実践的な 「収納のコツ」を、事例を交えて詳しく学ぶことができます。全国各地で開催する講座とオンラインでも受講することができ、1日の受講で資格を取ることができるのも魅力です。
さらに、整理収納アドバイザー1級を取得すると、プロの整理収納アドバイザーとして活躍も可能です。
整理収納アドバイザー2級の資格と講座の概要
主催 | 特定非営利活動方針 ハウスキーピング協会 | |
講座受講 | 1日の講座を受講(10:00~17:00)※受講時間は会場により異なる | |
オンライン、全国各地で開催。どちらかを選べる。 | ||
資格 | 受講後、およそ1ヵ月で認定証が発行、郵送される | |
受講料 | 24,700円 (税込) テキスト代・認定料込 (再受講料 19,200円(税込) テキスト代込) |
3.クリニックや病院の事務

医療事務は50代女性にも人気の再就職先です。人と接するのが好きな方、コツコツした作業が得意な方におすすめです。「正確な事務作業が好きな人」なら、未経験からでも十分チャレンジできる分野です。
おすすめの資格
④医療事務
病院やクリニックの受付・会計業務に役立つ資格。病院やクリニック、薬局などの医療機関が、診療報酬を保険者(健康保険組合や国民健康保険など)に請求するための「レセプト(診療報酬明細書)」を作成・点検・提出する業務があります。多くの場合、医療事務は資格がなくても採用後のトレーニングや実務を積むことでできる仕事です。医療事務の資格(例:医療事務技能審査試験、診療報酬請求事務能力認定試験)を取得すると、採用時に有利だったり、よりスムーズに業務に取り組めるでしょう。
初心者におすすめの医療事務資格
医療事務にはいくつかの民間資格がありますが、初心者の方におすすめなのが「医療事務技能審査試験(メディカル クラーク)」です。
付与する称号 | メディカル クラーク®(医科・歯科) |
受験資格 | 不問 |
試験日程 | 毎月実施 ※土日を中心に月複数回設定 |
試験実施方法 | インターネット試験(IBT方式・試験官による監視あり) |
学科(50分)/ 実技(70分) | |
受験料 | 8,800円(税込)(医科・歯科) |
合否判定 | 学科試験および実技試験の各々の得点率が70%以上 |
合格率 | 約70%(2021年) |
- 勉強期間の目安:一般的に3〜6か月ほど(1~2時間/日のペースでムリなく学習を進めるとこの目安)
- 独学の場合、通信講座を利用すると費用は3万円〜5万円が目安。
- 初心者でも合格しやすく、パート・派遣の採用にも役立つ。
4.調剤薬局の事務

調剤薬局の事務は年齢制限が比較的ゆるやかで、未経験でも採用されやすいのが特徴です。実際に調剤薬局では40〜50代の女性も多く事務として働いています。また、パートや扶養内勤務の募集も多いため、家庭との両立がしやすく、主婦経験を活かした働き方が可能です。資格がなくても応募できる場合が多く、必要な知識は入職後に覚えればOK。医療事務や調剤事務の資格があれば、さらに有利だと言えます。
安定したニーズがあり、これからの高齢化社会でも仕事がなくなりにくいのが強みです。家の近くで働けるチャンスも多く、主婦の方にはメリットもあります。患者さんは年配の方の割合も多いため、ゆっくり・優しく対応できる人が好まれます。50代で子育てからも離れ、落ち着いた対応ができる方に向いている仕事と言えるでしょう。
おすすめの資格
⑤調剤薬局事務
資格がなくても応募できる場合が多く、必要な知識は入職後に覚えることもできます。資格があれば、さらに有利だと言えるでしょう。
実施団体 | 日本医療事務協会(日本教育クリエイト) |
試験時 | 毎月第4日曜日実施(年12回) |
試験実施方法 | 在宅受験 |
受験内容 | ●学科試験:択一問題20問 ●実技試験:調剤報酬明細書の穴埋め(択一問題)8問 |
合格基準 | 原則として、学科・実技それぞれにおいて正答率6割以上。 |
受験料 | 一般は5,500円(税込) ※ユーキャンの認定講座受講生の場合、受験料は4,950円(税込) |
5.食品売り場の販売員、飲食店、学校や介護施設の給食スタッフ

スーパー・食品売場の販売員、飲食店やカフェ店員のパートやアルバイトを希望される方も多いでしょう。その場合、食品表示や栄養価、食品衛生に関する知識があると、お客様対応に活かせます。また、主婦としての経験を活かし、学校や高齢者施設の給食スタッフとしての仕事も多くあります。家の近くで探すこともできるので、女性に人気の高い職業です。
おすすめの資格
⑥食生活アドバイザー
「食」を通じて健康的な生活をサポートする知識を身につける資格で、栄養・食文化・マナー・食品表示・安全管理など幅広く学べます。
スーパー、ドラッグストア、給食センター、飲食店などの食品関連のパート・アルバイトで評価されやすい資格です。3級(初級)と2級(中級)があり、初めての方は3級からスタートできます。
50代になると、親の介護や夫婦の健康を意識し始めた方にとっては、食生活アドバイザーは日常にも活かすことができる知識です。履歴書に書ける資格として、50代・60代の方に人気です。
また、フリーランスで健康コラムを書く、料理教室を開くなど副業に活かすこともでき、取得しておくとメリットも多い資格です。
実施団体 | 一般社団法人 食生活アドバイザー |
試験日 | 年に2回(6月、11月) |
試験実施方法 | 各地で実施 3級・2級ともに90分 |
受験料 | 3級 5,500円/2級 8,000円 (3級・2級併願の場合は 13,500円) |
受験内容 | ●学科試験:択一問題20問 ●実技試験:調剤報酬明細書の穴埋め(択一問題)8問 |
合格基準 | 3級:1問2点 合格点:60点以上/100点満点 2級:選択問題1問2点・記述問題1問3点 合格点74点以上/123点満点 |
6.マンション管理スタッフ

マンションに出勤し、入居者対応や簡単な清掃・点検などを行うお仕事です。男性が多いイメージですが、女性もたくさん活躍しています。資格がなくても応募可能ですが、以下の資格があると有利です。
おすすめの資格
⑦マンション管理員検定
実施団体 | 一般社団法人 マンション管理員検定協会 |
試験時 | 年に2回 |
試験実施方法 | 全国6試験地及び周辺地域 (札幌・東京・静岡・名古屋・大阪・福岡) |
受験料 | 9,900円 |
免除項目 | マンション管理士試験、管理業務主任者試験の合格者及び協会主催の免除講習修了者は5問免除 |
合格率と難易度 | 現在合格率は非公開 難易度は低め |
検定試験について詳細は協会のホームページで確認してみてください。
マンションの運営や法律、設備の知識が学べます。人と接するのが好きな方、コツコツとルーチン作業が得意な方に向いています。過去に接客や営業の経験がある方なら、入居者対応の場面でそのスキルが活かせます。
「マンション管理員」と「マンション管理士」は何が違う?
マンション管理員は、マンションの現場で清掃や受付、点検など日常的な管理業務を行う仕事です。特別な資格は不要で、未経験でも始めやすいのが特徴です。会社員をリタイヤした方や、50代以上の方が希望されることが多い仕事です。「マンション管理員検定」は実務に即した試験なので、管理会社での仕事に就く場合、有利に働く資格です。
一方、マンション管理士は、管理組合や住民からの相談に応じ、法律や管理運営について専門的なアドバイスを行う仕事で、国家資格になります。マンション管理士の合格率は8~12%なので、難易度の高い資格です。マンション管理に関する幅広い知識、法律に関する知識が求められる分、コンサルタント的な役割を担います。
まとめ:50代女性が持っているとパートや再就職に有利な資格
50代の再就職やパート探しは、「資格なし」でも十分可能です。しかし、今回ご紹介した資格を取得することで、選べる仕事が増え、より好条件の求人にも応募できるようになります。また、資格を取る過程で「まだまだ成長できる」という自信が芽生え、新しい人との出会いやチャンスも広がります。
今こそ、第二の人生をより充実させるチャンス。これまでの経験を活かしながら、ソロ活感覚で資格取得にチャレンジし、あなたらしいキャリアを築いていきましょう!きっと、新しい自分に出会えるはずです。
